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<コラム>当事者にしかわからないこと、理解する努力


あの時は苦しかった、あの時は辛かった、振り返ることができること、どんな方にもあると思います。それは通り過ぎた出来事であり、今ここでの出来事は、また異なるものになっている状況になります。

ところが、この渦中にいる場合は、なかなかそう簡単な状況ではありません。その人にとっては人生のすべてに影響を与えてしまうような問題であり、その苦しさ、辛さが理解してもらえずに、さらに追い込まれる状況になることも多くあります。冷静な時であれば、いろいろな選択肢を並べて、しっかり選択できるような方であっても、その渦中にいるときには、それができなくなってしまいます。

また、選択肢が並べられないような状況ということも当然起きてくるわけで、その時はあらゆることを手放していく経過をたどることが多いようです。その時の夢や希望、描いていた未来、可能性、そういったものを手放さざるを得ない状況ということです。それは、当事者にしかわからない苦しみであり、暗闇でもあるかもしれません。

一方で、その周囲にいる人は、どうにかしてあげたい、という思いでいるわけですが、その選択がうまくいかないことになることも多くあります。

その時の出来事を解決するのか、解決しないのか、受け取るのか、受け取らないのか、あるいは背負って歩くのか、様々な表現はありますが、それを選ぶのは当事者にしかできないことであるわけです。周囲の人が何かしてあげようという気持ちはポジティブであっても、当事者の選択の過程に寄り添うことを忘れてしまっては、逆効果になることも多くなります。

大きな出来事を体験する中で生きている、解決したしないだけではなく、その出来事があったという事実を持ったままで歩いてく、その過程の中で変化していく気持ちをふくめて、その当事者にしかわからない思いを、しっかりと理解しようとする努力をなくしてはいけないと思うのです。

その努力の先に、当事者にとって起きた出来事、その問題が進行形であったとしても、その過程に寄り添い歩いていく、大切な存在であればあるほど、その意識は大切になってくると思います。もちろん、その在り方は、自分を捨て去って相手に合わせていくことでもないわけです。そのバランスが、人間関係なのかもしれませんね。

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