最近の流れの中で、ハラスメントに対する企業の対応が重くなってきているような印象があります。ハラスメント対策委員会を作ってしっかりと対応していくことは基本としても、その対象がどんどん増えているのが実情です。検索サイトでハラスメントの種類を調べてみると、20~30種類のものが見つかります。もしかすると、もっと実際には多いのかもしれません。セクハラやパワハラなど認知度の高いものから、あまり聞かないようなものまで様々です。
対策委員会にあがってくるものは、それぞれ状況が異なります。ハラスメントではなく犯罪として捉えていいようなものから、人間関係のこじれのようなものまで様々です。それぞれが当事者にとって大きな問題ですので、丁寧に扱っていく必要がありますが、それだけでは治まるものでもありません。リアルタイムの問題だけでなく、どうしても予防措置的な対策が大切になってきます。
この予防措置、知識を入れることで解決する部分ももちろんありますが、それだけでは実際にはすまないことが多いと感じている。習慣化された言動がハラスメント化している場合は知識だけの問題ではありませんし、時間は掛かりますが、自分の特徴や傾向、感情の理解など様々な角度から行動変容を促していく必要があります。習慣化している人の多くには、それが当たり前であったり、むしろ常識と思っている事さえあります。場合によっては、正義感から生まれていることすらあります。特に仕事を理由にした時には、被害者側がまるで悪者のようになることすらあります。仕事への責任と、指導、対応、育成など、それは本来は両立すべき物ですが、その部分の丁寧さがどこか忘れられているようにも思います。スケジュールや品質への責任等、果たすべき責務はありますが、その中に人を大切にする部分も含まれてなければ、本当に対策にはならないと感じます。
企業や団体では体制的に構築されているところは増えてきました。一方で、踏み込んだ形で予防措置まで手をつけているところはまだまだ多くはありません。実際の面接の現場では、そういった予兆を感じることも多くあります。対策委員会を持ち個別対処することと並行して、カウンセリングの現場から見える予兆を受け、状況を把握し、対策を打ち、未然に防ぐ、このサイクルを時間をかけてしっかり確立していかないと、なかなか沈静化しない問題だと捉えています。