研修の際であってもカウンセリングの際であっても、その現状を出来るだけ正確に把握することを意識します。どれだけ時間をかけられるかであったり、使えるコストであったり、その条件によってかける時間は異なりますが、把握出来ない状況では、一般的な内容に落ち着いていきます。
実際に、現状を把握していくと、組織にしても個人にしても努力や工夫をしていないことはほとんどありません。頑張っていません、と言う方も多いですが、懸命に向き合っていることがほとんどです。ですが、そのような状況で上手くいっていないときは、努力や工夫の方向が異なっていることが多いように思います。その理由のほどんどは、正しく状況を押さえていないか、押さえていても選択肢を持っていないか、そのどちらかになります。時間をかけてゆっくりそこに気付いていくことも大切ですが、仕事や忙しい日々の中では余裕すらなくなってしまいます。
そんな状況の研修やカウンセリングでは、ある程度の方向付けが必要になることがありますし、時には一緒に悩むことも大切かもしれません。当事者の問題を代わって解決することは基本的にありませんが、少なくとも当事者が自らの意思と努力で先に進めるような関係性は必要だと考えています。
例えば企業の場合では、マネージャー研修など、資質があって期待されているのになかなか思い通りの成長に繋がらないことなどが多くあります。そんな時こそ、その人のこれまでの活動やその人自身の現状認識をしっかりと理解して、短い時間の中、一緒に歩いていく意識を持ちます。研修であればわずか数時間の関わりになりますが、できるだけひとりひとりにメッセージが届くように、現状を正しく把握する必要があるわけです。カウンセリングであれば、そのスピードは変わりますが、形を正しく把握すること、そのためには、よく聴くこと、理解すること、その根本を大事する意識を持ちます。研修にしても、カウンセリングにしても、現状に対して何かしらの変化が必要だという、内発的な物か外発的なものかは別として、モチベーションが存在します。双方がそのモチベーションを起点に、今既に頑張っている状況を理解して、その上で、どんな選択肢を持って行くのかを、同じ目線を持った上で、異なる経験をもつという関係性の中変でゴールを目指していきます。
頑張っているからこそ、先に進む必要があるからこそ、本当に大切なのは正しく把握すること、そのために、聴くこと、見ること、知ること、といった基本的なところを忘れることはできないと言えます。
皆さんは、正しく、今を把握できていますか?