組織の中での世代交代していくこと、なかなか簡単なことではないと感じています。それは規模の大小にかかわらず、当事者の問題意識とは裏腹に、なかなか解決しない問題でもあります。
世代交代の観点で企業や組織からよく聞くのは、次の世代がいない、後継がいない、物足りない、というような言葉がほとんどです。世代交代をする意識はあっても、それに相応しい人材がいない、という認識であるということです。
そういう言葉を口にする方は、本当に自身で努力し、今日まで組織を支えてきた方でもあります。その能力には皆さん一目置き、尊敬の気持ちを抱いていることが多くあります。また、その能力の高さや権限の強さに、周囲が委縮してしまっていることもあります。
一方で、長年中心に居続けることで、権力が集中し、組織の規範よりもその人の言葉が強くなり、俺様環境ができてしまっていることもあります。この場合は、秩序はその人そのものになりますので、周囲には諦めの気持ちが充満し、誰ひとり変えようとする意識がなくなってしまいます。
それぞれ、共通しているのは、人を育てる、伸ばす、という部分が失われてしまっていることです。残念ながら、周囲への物足りなさを表現することはあっても、なかなか育成の方法論を口にすることはありません。もちろん、ご本人自身が、育ててもらったというよりも、自力で道を切り開いてきた、という意識も強いと思います。
もちろん、その努力は認められるべきものでありますが、組織の未来を考えた時には不十分であったことは否めません。その部分に対して、組織として介入する、あるいは育成を進める手続きを、結果的に蔑ろにしてしまっていることにもなります。
後者の例の場合は、特に問題が大きくなりやすく、功労者をお互い不本意な形で切り捨てなくてはならないケースにもなってきます。
組織の中で役割を持つということは、自分以上の役職者を育てていく意識を持つことを含む、と考えています。ところが、そういった観点を教える、あるいは伝えることもなく、役職と責任を持たせて後は任せてしまうことが多いように思います。
どの組織も、役割を持つ人は最大限頑張ろうとしています。だからこそ、その頑張る方向性は、組織としてしっかりナビゲートする必要があると思うのです。この先、組織というものが、どういう形に変化していくのか、それはなかなか見通せるものではありません。最後は、育つ人は育つ、という部分も否めません。それでも、次の世代に渡していく、という意識をしっかり伝えていくこと、それはとても大切なことではないか、と考えています。
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