伝えることができていない思い、カウンセリングの現場でそんな思いに気付くシーンが多くあります。それは、コミュニケーションスキルに関わらずあることで、身近であればあるほど、大切であればあるほど多く起きているように思います。
その言えない思いが必ずしも悪影響があるわけではないのですが、その思いが「伝わっているはず」となっていると、少し見直してみることも大切です。
年齢に関わらず、経験に関わらず、その人なりの様々な思いがあり、その正当性があります。客観的にどうこうではなく、その人にとっての正当性であり、場合によっては生きるエネルギーになることもあります。それが、言えない、型を作ってしまっていることがあるように思います。
「伝わっているはず」という感覚は、とても脆弱で繊細な部分を持つ関係性を作ります。ちょっとした変化や違和感をきっかけに、ネガティブな疑念が出てくることにもなりますし、しっかりとした人ほど、それを押さえようとそこから目を背けることにもなります。
その結果、関係性はあるものの、距離感がどんどん開いていく、諦めの状態の関係になることもあります。それでも頑張って乗り越えようとする方がほとんどですが、どこかに脆さを孕んだ強さとして形を変えていくこともあります。
親子関係や夫婦関係がうまくいかなくなっていく時、あるいは努力しているのに問題が大きくなっていくとき、そんな背景が隠れていることがあります。
お子さんが働くことができなくなったことによるご両親の関わり方、仕事に上手くなじめない中での夫婦関係、見える問題ではなく、その前段階のところを少し調整するだけで、一歩踏み出せることも多くあります。
伝えることができていない思い、ちょっとしたことであり、大きな変化を作る種にもなることもあります。全てを伝えることが正しいわけではありませんが、伝える事に意味があるならば、その勇気が必要な時期が来るのだと感じます。
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