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ハラスメントを抑制するマネジメントのために


組織の中で、ハラスメントは避けては通れない問題です。多くの組織では、ハラスメントがいけないのだ、という認識は広がっていると感じます。

しかし実際には、ハラスメントは今も存在し、ハラスメントはダメという認識の陰で、より見つけにくくなっているように感じます。あからさまな行為については、非常に目立つこともあり、対処しやすいものです。しかし、支店や営業所、小規模な拠点の中では埋もれやすい現実があります。

埋もれてしまう要因としては、実態が見えにくいことがあります。独立性がある組織で、役割や能力で秀でている人がいる組織ではその傾向も強く感じます。仕事ができる、あるいはその人でないとできない、そんな環境は、プラスの面だけが強調され、その人の負の面が見えないことで、結果的にハラスメント行動を間接的に容認していくことになります。実際には、軽い注意やアドバイスなどはしているのですが、それ以上は踏み込みません。周囲の人は諦め、行為者は指摘されないことを免罪符として続けていきます。そのような関係性の組織や部門は、覇気が感じられなくなり、助け合いなどもなくなっていきます。ハラスメントに晒されてしまえば、自分が悪いのではないかと感じてしまい、相談も出来なくなります。

本社や管理部門の上位管理者が訪問することはあっても、多くの場合は、拠点の責任者と一緒に過ごすことが多く、全体を見る時間も少なく、実態を掴むことは難しいことが多くあります。結果的に被害者にとっては、気付いてもらえず、諦めることになります。ハラスメントは慢性化してしまうと、当然被害者のダメージが大きく、パフォーマンスも落ちていきます。落ちていけば、そこがまた攻撃の対象になります。周囲も助けることが出来ず、より実態が見えにくくなっていきます。実態が掴めたときには、選択肢もほとんどなく、対処する側も、その後の拠点の業務も難しいものになっていきます。

実はマネジメントそのものの実態が非常に見えにくく、業績だけで判断されることが多いのも実情です。部下の成長やメンタルヘルスの問題は、拠点での優先順位が業績に比べて下がってしまうこともあります。そのため、結果が出せるというのは全ての免罪符になってしまうと、ハラスメント行為をより強化してしまうことになります。また、ハラスメントは上位者からのみ行われるわけではありません。立場的に下の人が起こすハラスメントも実際には多く存在し、ハラスメントを盾にハラスメントを行うことも実際には多くあります。

働き方改革が求められ、拠点の業績だけではなく、対人のマネジメントも同じように大切になります。働き方改革により残業を減らすことなど負担を減らす方向には進んでいます。しかし実際には、その方法論は現場に任されてしまい、いつのまにか合理性よりも気合いと根性に戻ってしまうマネジメントが行われているのも現実の一部です。

ヒトらぼでは、カウンセリングをメンタルヘルスだけでなく、マネジメントの定点観測の機能として提供しています。ですので、相談内容の守秘義務と、組織へのフィードバックを両立することを重要視しています。企業や組織がマネジメントに向き合い、定点観測から学ぶべきポイント、コミュニケーションや個々の人材育成の方向のズレなどに対処していくことが可能となります。既に進行中のハラスメントに対する対処はもちろん最優先事項ですが、本来であれば、ハラスメントがが起きてからの対処だけではなく、ハラスメントが起きにくく、予兆の段階で対処できる土壌を、丁寧につくっていくことが大切になります。カウンセリングが特別なものではなく、組織のマネジメント機能の一部として公平な立ち位置で機能していくことが、働く環境を改善していくことに繋がると考えています。

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